日本へ訪れる外国人の数は20年前に比べて倍増している。
350万人(1990)→680万人(2009)。地域別には、北米や欧州からの訪日者は全体の20%程度で、残りの大半は韓国や台湾、中国などアジア地域からで占められている。
現在、中国からは年間100万人近くが訪日を果たし、うち50%は観光を目的とした旅行が占めている。
    http://www.jnto.go.jp/jpn/tourism_data/visitor_data.html
※出所:日本政府観光局(JNTO) | 訪日外客統計

これまで日本の商業店舗では、アジア諸国からの訪日者を“得意客”としてターゲット
してこなかった。ところが、新興国の経済水準が上がり、特に自国の経済発展の
恩恵を受けた中国人観光客は、今後日本の消費マーケットに必要不可欠な存在となりつつある。

メリルリンチ証券が毎年発表している「ワールド・ウェルス・レポート」の2009年版
によれば、マイホームや収集品などを含む100万米ドル以上の資産を持つ、世界の富裕層
人口は 860万人で、それを国別でみると、米国、日本、ドイツに次いで、中国が第4位
となっている。

1位 米国  250万人
2位 日本  130万人
3位 ドイツ 81万人
4位 中国  36万人
5位 英国  35万人

 ※出所:World Wealth Report 2008年(メリルリンチ)
     http://www.ml.com/media/113831.pdf


2010年7月1日から、中国人の入国ビザが緩和され、これまでの年収制限が6万元
にまで引き下げられ、おおよそこれまでの10倍の1600万人が潜在的な渡航者となる。

彼らの主たる目的は、”ショッピング”である。
中国人観光客のお土産・物品購入代は1人当たり11万円を超え、外国人の中で
購入単価は断トツ。訪日中国人の約3割は20~30代の女性が占め、日本のファッション
への関心は高く、原宿で髪を切り、ネイルサロンに通う「上級者」もいるという。

購入品は安心安全で高品質な「日本製」であるこが重要。観光地は富士山のほか、
東京の浅草や銀座など、友人や親族などに「日本を旅したと証明しやすい場所」
の写真を撮ったり、それらに関連したお土産を購入する傾向がある。

百貨店や家電量販店にとっては、日本人の消費が冷え込む中で、来日する
裕福な中国人は是非とも優良客として長期的に囲い込みたい存在になりつつある。

リアル店舗に限らず、ネットビジネスにおいてもアジアの富裕層を顧客ターゲッ
ト据えてゆくことは、飽和する国内消費市場に於いて、次の有効な施策になり得る。



【圧倒的な母数を誇る中国のカード決済システム】

アジア新興国からの訪日者が長らく”得意客”とならなかった理由は、
クレジットカード所有率が低くて、高額商品の買い物ができないことに起因していた。

ところが2002年頃から中国でカードが急速に普及しはじめて、2009年には国内で
21億枚以上が発行されるまでになった。

ここで注意を要するのは、中国のカードは、国際標準のクレジットカードとは全く異
なるものであるという点。中国国内の銀行間がネットワークされた”銀聯”ブランド
のカードを指す。これは、予め口座にストックされた預金をキャシュカードを使って
買い物の際に利用する”デビットカード”そのものである。


つまり、中国では“与信”というシステムが未整備なため特定の収入基準を満たす人以外は
いわゆる、後払いのクレジットカードは所有することができない。中国人にとって
カードは、この銀聯カードなのである。

中国国内では、VISA,MASTERブランドのクレジットカードは、観光客が利用する
レストランやホテル以外では、ほとんど利用できない。代わりにこの”銀聯カード”
は、大半の飲食店や小売店舗で利用が可能である。現在では中国内の 157万店舗で
利用することができ、銀聯カードによる買い物は、同国の消費市場全体で30%を占
めるまでに成長している。

この圧倒的な発行枚数を誇る銀聯カードと、連携を強く持つオンラインの決済の
一つに、支付宝(Alipay)がある。

※中国銀聯(日本語サイト)
http://jp.chinaunionpay.com/


中国のEコマースが、日本やその他の欧米と大きく異なるのは、この決済手段である。
”現金払い”に近い感覚の、銀聯カードを使った支払いスタイルのため、この銀聯との
親和性の高いオンライン決済手段が支持されることになる。

中国で最も普及しているオンライン決済の手段が「支付宝(Alipay:アリペイ)
」。2009年の時点で中国ネット人口の6割に相当する2億人が利用している。
アリペイの仕組みは、簡単に言うとネットオークション取引にみられる
エスクローサービスの要素を取り入れた支払い手段である。
商品の注文者がショッピングサイトで決済手続きをすると、アリペイが売り手
(販売店)に対して商品の発送を依頼する。買い手側に商品が到着した後にクレームが
無ければ、アリペイから販売店に代金が支払われる。


アリペイはオンライン決済機能として優れていることから、中国内だけの利用に
留まらず、国際的な決済システムとても普及に向けた動きがある。同様の決済システム
にペイパルがあるが、圧倒的な人口を持つ中国においては、このアリペイがペイパルを
凌駕することもありえる。
アリペイをECサイトに取り入れることは、中国の顧客をオンラインにおいて
獲得する必須条件となる。

※アリペイ(中国語)
https://www.alipay.com/

※アリペイ国際決済サービス(ソフトバンク・ペイメントサービス)
http://www.sbpayment.jp/asp/specific/alipay/index.html

※アリペイサービス日本語解説書(オキシモロン コンサルティングLLP編著)
http://oxymoron.cart.fc2.com/